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タイの柔道

柔道の試合ルール、日本とタイではどこが違うのか 日本で試合をする前に知っておきたいこと

IJFは2025年に有効を復活させ、日本の国内大会もそれを採用しています。今本当に違うのは一部の大会の申し合わせ事項と少年規程です。申し込み前に確かめることをまとめました。

試合場の中央で白い柔道衣の選手が青い柔道衣の相手を投げ、審判が見守る。背後に日本国旗とタイ国旗
同じ畳でも、勝敗を決める規則が同じとは限りません

著者

監修 黄烈彬 · 柔道二段(タイ柔道協会)・Sports Authority of Thailand(SAT)C-License 柔術コーチ

著者
黄炳明(Phoenix)
公開
最終更新
監修
黄烈彬 ·
情報源
16
読了目安
12 分

短い答え

タイの柔道の試合は主に国際柔道連盟(IJF)のルールに従っており、そのIJFルールは2025年から、一本と技ありに続く三つ目の得点として有効を復活させました。日本も2025年4月から国内大会で同じルールを採用しているため、有効はもはや両国の違いではありません。実際に違うのは、全日本柔道選手権大会のように試合時間、抑え込みの時間、指導の回数、脚取りの扱いを独自に定める一部の大会の申し合わせ事項と、中学生以下で絞技と関節技を禁じる日本の少年規程です。ですから渡航前には、出場する大会がどの規則を用いているかを確かめてください。

要点まとめ

  • IJFは2025年に有効を復活させ、日本も2025年4月から国内でこのルールを用いているため、有効はもはや違いではない。
  • 全日本柔道選手権大会は大会独自の申し合わせ事項を用いる。試合時間は5分(決勝は8分)、抑え込み15秒で技あり、4回目の指導で反則負け、ゴールデンスコアはない。
  • IJFは今も内股上部より下の脚取りを禁じているが、全日本選手権では2025年の大会から、組んだ状態であれば帯から下を掴むことが認められている。
  • 日本の少年規程は中学生以下で絞技と関節技を禁じているが、IJFのカデ大会では絞技が認められている。

IMAC Dojoで保護者や選手からよく受ける質問が、日本の柔道のルールは、タイで慣れ親しんだものとどこが違うのか、というものです。とりわけ本場での大会出場を決める前にこれを尋ねられます。

はじめにはっきりさせておきますが、私は柔道の指導者ではありません。私自身が黒帯を持ち、自ら教えているのは新極真会空手です。柔道における私の役割は、生徒を試合に送り出し、指導陣を支える創設者としてのものです。IMAC Dojoの柔道を指導しているのは黄烈彬、黄烈照、黄烈崇、黄秀文の四名で、タイ国内および海外での実際の試合経験は合わせて20年を超えます。以下に書くことは、この四名が現場で出会ってきたことと、数字がすべて確認できるよう規則の出典を改めて読み直した結果に基づいています。

この記事の目次

なぜこれがタイの選手にとって重要なのか

日本で試合に出るというと国を変えるだけのことに聞こえますが、実際には規則を変えることでもあり得ます。日本では三つの層の規則が重なっているからです。全日本柔道連盟が国内の大会に適用するIJFルール、一部の大会が独自に加える申し合わせ事項、そして中学生以下の選手に適用される少年規程です。ですから準備は、稽古量を増やすことより先に、その大会がどの層の規則で行われるのかを問うところから始まります。

当道場の柔道指導者四名の段位はタイ柔道協会によるもので、黄烈彬と黄烈照が二段、黄烈崇と黄秀文が初段、うち黄烈崇は日本の講道館からも別途認定を受けています。稽古の内容と指導陣については IMAC Dojo の柔道コース をご覧ください。

有効は復活し、もはや違いではない

2017年、IJFは東京オリンピックに向けて大きな改正を行いました。有効を廃止して一本と技ありのみとし、抑え込みの時間を技ありは10秒、一本は20秒と定め、反則負けとなる指導の回数を四回から三回に減らし、試合時間を男女とも四分に統一しました。

ところが2024年12月にIJFが発表した新ルールは、有効を三つ目の得点として復活させ、2025年2月のグランドスラム・パリから国際大会で適用されました。有効は、相手を体側、尻、背中上部から着地させた投技と、5秒から9秒の抑え込みに与えられます。技ありは10秒から19秒、一本は20秒です。有効は何回取っても累積されるだけで、技ありにはなりません。

日本は旧ルールを国内に残したわけではありません。全日本柔道連盟による新ルールの変更点の資料には、国内では2025年4月の全日本選抜体重別選手権大会から導入すると書かれており、連盟自身のルールのページも今は同じ仕組みを説明しています。試合時間は4分、有効があり、3回目の指導で反則負け、それでも決着しなければ時間無制限のゴールデンスコアで延長戦を行います。

この記事の以前の版では、有効こそが日本とタイの最大の相違点だと書いていました。2025年以降、それは正しくありません。同じ主張を他で読んだ方は、引用されているのが何年のルールかをまず確かめてください。2026年1月、IJFはこのルールはほぼ変わらないと発表し、グランドスラム・ウランバートル以降、2028年ロサンゼルスオリンピックまで固定するとしています。

脚取り:IJFは今も禁止、全日本選手権は組んだ状態なら可

現行のIJFルールでは、帯から下を掴むことは内股上部の高さまでなら認められますが、脚取り、手や腕で脚を引っ掛けること、下穿を掴むこと、そこから下の脚に触れることは、引き続き指導の対象です。一方、この武道の発祥の場である講道館の柔道 技名称一覧には、双手刈や朽木倒といった脚を取る投技が今も載っています。またIJFの競技・運営規則(SOR)は、IJFの大会では用いることのできない講道館の技として、河津掛や蟹挟などを別に挙げています。

日本では、全日本柔道選手権大会と皇后盃全日本女子柔道選手権大会の実行委員会が2024年10月10日に発表し、2025年の大会から新たな申し合わせ事項を導入しました。令和7年大会の審判規程には、立ち姿勢において相手と組んだ状態で攻撃・防御のために帯から下を掴む(触れる)ことは指導としない一方、組んでいない状況で直接帯から下へ攻撃を行うことは指導とする、とあります。この大会は講道館と全日本柔道連盟の共催で、この規則はその大会に固有のものであり、国際的なものではありません。

併せて知っておきたいのは、IJFルールでは脚取りは引き続き禁止だということです。全日本柔道連盟の資料によれば、大幅な脚取りの緩和は、新ルール発表前の2024年10月のミーティングで検討された項目の一つでしたが、実際に出たルールでは引き続き指導となり、IJFはルールを2028年のオリンピックまで固定します。つまり現在、日本は自国の大会で扉を開き、国際の舞台では閉じたままです。

比較表:IJFルールと全日本選手権

この表は、タイが主に従い、日本も国内大会に適用している現行のIJFルールと、全日本柔道選手権大会および皇后盃の申し合わせ事項を、2025年と2026年の大会ページに基づいて比べたものです。どの欄も出典まで辿れます。日本で別の大会に出る場合は、その大会自身の規程を開いてください。一部の大会では適用内容を調整する場合があると連盟が述べているからです。

項目IJFルール 2025–2028(タイが主に従う)全日本選手権 男子・女子(2025–2026年)
得点の種類一本・技あり・有効一本・技あり・有効(同じ)
試合時間4分5分、決勝は8分
抑え込みの時間一本20秒、技あり10〜19秒、有効5〜9秒一本20秒、技あり15秒以上、有効10秒以上
反則負けとなる指導3回目4回目
時間内に決着しない場合ゴールデンスコア、時間無制限判定、延長戦なし
帯から下を掴む内股上部まで可、それより下は指導組んだ状態なら可、組まずに帯から下へ攻撃すれば指導

日本の少年規程:中学生以下は絞技も関節技も使わない

日本には少年大会試合審判規程があり、国内の中学生以下の試合に適用されます。試合はIJFルールに則って行い、安全面を考慮した禁止事項を加える、という規程です。保護者の方に知っていただきたいのは、絞技や関節技を用いれば指導となり、故意に相手の関節を極めたり頸部を絞めたりすれば、ただちに反則負けとなる点です。

2015年の「少年大会特別規定」では、中学生は三角絞を除いて絞技を用いることが認められていましたが、現行の規程にはこの例外がありません。付則にはその間の改正が並んでおり、その一つが2022年1月24日に改正し、2022年4月1日から施行したものです。同じ日の日本の報道は、この改正が中学生の絞技を全面的に禁止するものであり、その理由はこの年代の選手が全国規模の大会においてさえ絞技で意識を失う例が見られたことだと伝えました。2026年4月1日に施行された最新版では、規程の名称が改められ、小学生が片膝を着いて投技を施すことも禁止事項に加わりました。

これは、IJFのカデ(18歳未満)の大会とは異なります。カデの大会では絞技が認められており、IJFの規則は、カデの選手が絞技で意識を失った場合はその大会で試合を続けられない、と定めているだけです。二つの制度の年代区分はぴったりとは重ならないので、お子さんを試合に連れて行く保護者の方は、その大会が日本の少年規程を用いるのか、IJFのカデのルールを用いるのかを確かめる必要があります。

日本の少年層をめぐる改革は技の制限にとどまらず、全国小学生大会そのものの廃止にまで及びました。その件については 日本における柔道と柔術 に書いています。迷っておられる保護者の方には、こうした知らせは警告ではなく良い兆しとして読んでいただきたいと思います。この武道が生まれた国が、子どもに危険があると分かったときに自国の制度を変える用意があった、ということだからです。

礼法:規則に実際に書かれている作法

IJFの規則は、試合の始めと終わりに選手が互いに礼をすることを求めており、礼をしない場合や正しくない場合は審判が礼をするよう指示します。また、試合開始前の握手は禁じられています。道場については、講道館の礼法のページが、道場で特に指導されているのは座礼と立礼の二つだと説明しています。

勝った後に喜ぶことについては、IJFの規則に喜ぶこと自体を禁じる条文はありません。ただし、IJFの大会で試合終了時に相手に敬意を欠いた選手は、失格や賞金・世界ランキングポイントの剥奪の対象となり得ると定め、言葉や身振りで相手を侮辱することも柔道精神に反する行為に挙げています。敗れた相手の前で拳を突き上げたり跳びはねたりすることは、見た目だけの問題ではありません。審判が相手への敬意を欠く行為と判断すれば罰則があり、また自他共栄にも反します。IJF自身も、自他共栄を柔道の価値として規則に書き込んでいます。

ここまで読んでお子さんに柔道をと考えておられるなら、IMAC Dojoの柔道クラスは8歳以上を受け入れており、必ず受け身、すなわち安全な倒れ方から始めます。受け身については 受け身とは何か に、この武道の成り立ちについては 柔道とは何か に詳しく書いています。

IMAC Dojo(Ladprao 101)の柔道コースを見る

参考資料・関連情報

  1. 国際柔道連盟:次のオリンピック周期の新ルール(2016年12月9日) — International Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  2. 国際柔道連盟:新ルール発表(2024年12月13日) — International Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  3. 国際柔道連盟:新ルールの要点(2024年12月17日) — International Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  4. 国際柔道連盟:新シーズンを前にルールを確認(2026年1月6日) — International Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  5. 国際柔道連盟 Sport and Organisation Rules(SOR)2026年8月14日版 — International Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  6. 全日本柔道連盟:2025-2028国際柔道連盟試合審判規程の変更点について(2025年1月24日) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  7. 全日本柔道連盟:柔道のルール — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  8. 全日本柔道連盟:本連盟主催大会における国際柔道連盟試合審判規程改正の適用について(2026年3月17日) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  9. 全日本柔道連盟:「第40回皇后盃全日本女子選手権大会」「令和7年全日本選手権大会」について(2024年10月10日) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  10. 令和7年全日本柔道選手権大会(大会要項・審判規程) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  11. 令和8年全日本柔道選手権大会(大会要項・審判規程) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  12. 第41回皇后盃全日本女子柔道選手権大会(大会要項・審判規程) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  13. 全日本柔道連盟:少年大会試合審判規程(2026年4月1日施行) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧
  14. 講道館:柔道 技名称一覧 — Kodokan Judo Institute公式2026/10/05 閲覧
  15. 講道館:柔道と礼、その作法 — Kodokan Judo Institute公式2026/10/05 閲覧
  16. 全日本柔道連盟:国内における「少年大会特別規定」(2015年11月30日) — All Japan Judo Federation公式2026/10/05 閲覧

よくある質問

講道館の柔道ルールはIJFとどう違いますか?

まず層を分けて考えてください。IJFは国際大会で用いる試合規則を定め、講道館は技の名称の体系を定めています。その体系には双手刈のような脚取りの技が今も含まれていますが、IJFは脚取りを指導の対象としており、河津掛など講道館の技の一部をIJFの大会では禁じています。講道館が共催する全日本選手権は、IJFルールに大会の申し合わせ事項を加えて行われ、たとえば組んだ状態なら帯から下を掴むことができます。得点については、2025年から双方とも有効があります。

日本で柔道の試合に出る前に何を確認すべきですか?

まず、その大会がIJFルールをそのまま用いるのか、大会独自の申し合わせ事項を加えるのかを確認してください。試合時間、抑え込みの時間、何回目の指導で反則負けになるか、帯から下を掴めるか、時間内に決着しない場合の決め方に直接関わるからです。中学生以下の選手であれば、絞技と関節技についての少年規程も確かめます。そのうえで階級と、その大会の柔道衣の規定を確認します。

タイと日本の柔道はまったく同じルールですか?

すべてではありません。タイは主にIJFルールに従い、日本も2025年4月から国内大会でIJFルールを用いており、有効も含まれます。違うのは、全日本選手権のような一部の大会の申し合わせ事項と、中学生以下で絞技と関節技を禁じる少年規程です。

子どもが柔道を始めるにはどうすればよいですか?

投技より先に、受け身、すなわち安全な倒れ方から始めてください。急いで試合に出る必要はありません。IMAC Dojoの柔道クラスは8歳以上を受け入れており、指示を理解できるか、身体を制御できるかという準備の度合いも合わせて見ています。

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